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休職中の人間関係(後編) :周囲が本人とどう付き合うか?


  • 前編では、「うつで休職中の本人が周囲とどう付き合うか?」見てきました。
    link: https://kenwork.co.jp/column/179/
     
    後編は、職場や家族・友人など周囲の人々が本人と連絡をとる際に重要なポイントをお話していきます。
     
    ④職場から本人に連絡する際のポイント
    頻回の連絡は本人にとって負担になるので、職場からはむやみに連絡しないようにしましょう。月1回程度、決まった担当者から行うのが良いと思います。連絡手段はメール・電話などいずれでも構いませんが、本人と相談し、本人にとって心理ハードルの低い手段を使うようにしましょう。
    内容としては、体調や通院状況を聞きたい所ですが、まとめて話すのが難しそうであれば、連絡日前日の一日の過ごし方(日中はどんなことをしているか、ご飯は食べられたか、睡眠は取れているか、くらい)を聞くのも良いでしょう。プロジェクトの進捗状況や、「最近忙しい」などという世間話も、本人にとってはプレッシャーとなるので、仕事の話は避けましょう。
     
    ⑤家族・友人が本人に連絡する際のポイント
    調子の優れない時は、たとえ起きていてもメールの返信や電話に出る事ができないことがあります。携帯電話自体を見られなかったり、LINEを未読スルーすることもありえます。返事がないと心配になるかと思いますが、連絡の催促はできるだけ控えましょう。既読になっていれば十分OK、の気持ちで見守って下さい。ただし、緊急性を示唆する連絡が本人から来た場合は、早急に対応してあげて下さい。
     
    メールを送る際のポイント
    メールの文面は、なるべく短く、返信がいらない内容にしましょう。体調が悪い時に、長文を読んで理解することは難しく、質問文や疑問文で送ると「返信をしなければ」というプレッシャーを与えてしまうからです。緊急時などでどうしても返事が欲しい時は、「〜の件で明日までに返事をください」などと期限を伝えておきましょう。内容も「こうしたらよい」「忘れろよ」「頑張れ」などは避けたほうがよいでしょう。すでに頑張っていますし、アドバイスで抜け出せる程単純な状況でも無いので、治療は専門家に任せましょう。ただ、「あなたを心配している」ということを伝えるだけで本人には十分励みになります。
     
    電話のかけ方のポイント
    電話自体がうつ病で休職中の人にとってハードルが高いことがあります。電話の内容を聞いて即時に理解するのが難しいからです。英語のリスニングをしている感覚に近いかもしれません。留守電も同様に内容を理解できない場合があるので、電話に出なかった場合はメールで簡単に内容を伝えておくとよいでしょう。
    本人にとって電話に出やすい時間帯は、病気の回復に合わせて変わってきますので、確認するのが良いでしょう。例えば休職初期だと、午前中は動けず横になっていることが多いので、夕方〜夜がよかったりしますし、復職が近くなってきたら日中の方が良いという場合もあります。
     
    外出に誘う際のポイント
    うつで休職中でも、外出に誘われれば嬉しいものです。体調が悪い時は断られる事もありますが、あまり気にせず、また時間をあけて誘ってあげて下さい。
    外出する際は、なるべく短時間にし、ドタキャンや途中帰宅もOKと伝えておくと負担が軽くなります。当日急に体調が悪くなってしまったり、待ち合わせ場所には来たものの、久しぶりの外出で疲れて体調を崩す事もあるからです。
     
    外出先の選び方もいくつか配慮が必要です。
    最も大事なことは「本人が慣れている場所」に連れて行くことです。例えば、行きつけのカフェやファミレスでお茶や食事をする、近くの公園でのんびり散歩をする、ショッピングモールなどで休憩しながらゆっくり歩く、などから始めみてはどうでしょうか。
    映画や観劇などは避けた方が良いです。「座っているだけだから楽なのでは?」と思いがちですが、内容を理解するためには長時間の集中力を必要とするため、大きな負担になってしまいます。旅行、海や山、テーマパーク、長時間のドライブなども元気な時にはよい気分転換になりますが、うつで休職中は疲れてしまうので避けた方が良いでしょう。また、レストランの予約や、時間が決まっているイベントなどは「絶対に行かなくては」とかえって負担に感じてしまう事があるので注意しましょう。
     
    動画でも解説しています。

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