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休職中の人間関係(前編) :本人が周囲とどう付き合うか?


  • 孤独はうつを引き起こし、またうつの人は孤独を感じやすいということがわかっています。うつで休職中は、会社の同僚や友人と疎遠になりやすいですし、そもそも人に会う元気が無い時も多いでしょう。その中でも最低限の人間関係を維持することは、自分自身が安心して療養をし、スムーズに復職をするために重要になります。
     
    そのためには、本人が自分の状態を自分から職場や家族・友人に伝える事が大切です。そうすることで、職場は今後の見通しが立てやすくなりますし、家族や友人も声をかけるタイミングがわかりやすくなります。休職中は不用意な言葉をかけられたり、噂をたてられるたりすることもありますが、自分から先手を打つことで安心して療養できる環境を作ることができるのではないかと思います。近年google社はチームの生産性をあげる唯一の方法として「心理的安全性」を提唱してきました。自然体の自分をさらけ出すことができる環境や雰囲気のことを指しますが、休職中もまた、自分の状態を他人に知ってもらうこと自体が、心理的安全性につながるでしょう。
     
    さて今回は、休職中の人間関係を、「1.本人が周囲とどう付き合うか?」と「2.周囲が本人とどう付き合うか?」という2つの視点から考えていきます。
     
    1.本人が周囲とどう付き合うか?
    ①職場との付き合い方
    職場には休職中も「報告・連絡・相談」を行うことが重要です。職場側が今後の見通しを立てるためにも必要ですし、自分自身を守ることに繋がります。連絡方法と頻度・内容・相手は、職場と事前に相談しておいて下さい。そして、決められた連絡方法と頻度(一般的には月1回程度)はなんとか守りましょう。また、入院や実家で療養するなど自宅以外で過ごす場合は、職場へ連絡しておきます。自分の居場所を明確にしておくのは、災害時などの安全管理上必要となるからです。とはいえ、休職当初は体調が悪いことも多いので、無理のない範囲で行なっていければよいでしょう。
     
    ②家族・友人との付き合い方
    体調が悪いときは、家族・友人から連絡が来ても、即座の返信や長文での説明は難しいことが多いでしょう。しかし、遅れても良いですし、短文でもよいので何らかの返信をしましょう。スタンプを送るだけでも十分です。
    また、LINEの場合は「ステータスメッセージ」、Facebookなどは「プロフィール欄」に「体調が悪いので返信が遅れる事があります」など一言添えておけば、周囲の人の理解を得られやすくなります。
     
    ③ウェブ・SNSとの付き合い方
    SNSへは、良い投稿も悪い投稿も慎重に行いましょう。読者はあなたのすべての投稿を見ているわけではありません。時系列で見れば体調が悪いことが分かるかもしれませんが、ある一投稿だけを見て誤解されることもあります。
    例えば、通院帰りに外食をした時の写真やリハビリを兼ねた散歩の際に見つけた花の写真をinstagramに投稿したとします。たまたま調子がよくて一週間ぶりにそういうことが出来るようになったのだとしても、その投稿をみた人には「意外と元気なのでは?」「休職中なのに遊び歩いているのでは?」と誤解されてしまうかもしれません。
    FacebookやTwitterなどで文章の投稿をする場合も、ネガティブな内容は避けた方がよいと思います。読者を心配させたり、引いてしまう原因にもなりますし、後から自分が読み直して恥ずかしくなったり、後悔したりしてしまうかもしれません。「うつ病体験記」などの闘病記を投稿したい場合は、メモや日記で記録をつけて、後日体調が落ち着いてからまとめて公開する事をお勧めします。
     
    SNSがうつに良いのか、悪いのかについては両方の論文があります。過去の論文をあつめて解析したメタアナリシス(Is social network site usage related to depression? A meta-analysis of Facebook-depression relations. J Affect Disord. 2019;248:65-72.)を見てみると、あまりに頻繁に、また長い時間SNSを使用するのはうつを増やす、ようです。しかし、SNSをどのくらいの時間ならやってよいか、というよりも、他人の投稿をみてどんな気持ちになるのか、が大事です。Facebookのリア充のキラキラ投稿をみてネガティブになったり、他人と比較する気持ちが強くでてしまうなら、距離をおいたほうが良いでしょう。しかしSNSで頑張っている人の投稿をみて前向きに慣れたりやる気がでたりするのであれば、使用は問題ないと思います。
     
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