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知っておきたい休職中のお金の知識

  • 2019.09.02

    https://youtu.be/cfP4WeOwmdg
    YouTubeでも解説しています。ぜひ御覧ください。
     

    心や体がいっぱいになってしまった人は、仕事を休み、心と体を休ませる時間が必要です。一方で休職した時に給料がどうなるのか、皆不安に思っていると思います。「休職すると収入は0になっちゃうの?」とか、「給料が失業保険からでるの?」とか考えている方もいると思うのですが、これらはいずれも間違いです。
     

    ギリギリで頑張っている人たちが、これから解説する傷病手当金自立支援医療の制度を知ることで、少しでも安心して、必要な休息を取ることができたらいいな、と思います。
     

    なお、お金の給付は細かい規定が多く、また就業規則によっても異なる場合があるので、個別の事情については会社側に確認することが重要です。このページでは一般的な流れと、どれくらいの金額が入ってくるのかを大まかに掴むことを目的にしています。
     

    休職中の収入
    有給消化:休職が始まると通常まず有給を消化します。当然、給与は100%支給されます。
     

    ②(制度がある場合は)病気休暇国家公務員・地方公務員の他、企業ごとに設定されています。給与の80-100%が支給されることが多いようです。
     

    傷病手当金:有給・病気休暇を消化して、連続3日休む(途中で出てきたらダメ)と、4日目から以後1年6ヶ月は、傷病手当金が支給されます。大体、給料の満額の3分の2が月々支払われます。正確には『平均報酬月額』から計算するので気になる人は調べて下さい。
     

    ※傷病手当金は、業務外のケガや病気で休職した人がもらえるお金で、労災の場合は別なので注意して下さい。
     

    ※自営業の人が加入している、国民健康保険の人には原則傷病手当金の仕組はありません(土木建設国保や医師国保など一部例外有)。企業の健保組合、協会けんぽ、共済組合などいわゆる社保加入の人のみの仕組みです。また、パートやアルバイトで、勤務先から保険が出ていない人も適用されません。
     

    ※受給には「傷病手当金支給申請書」の提出が必要です。企業の健保組合なら様式が職場に用意されています。協会けんぽはHPからダウンロードできます。本人記載欄の他に、主治医に書いてもらう所、会社側に書いてもらう所があります。主治医は傷病名・その経過・期間などを書き、会社側は勤怠・賃金の状況などを書きます。提出は健保組合ですが、人事・総務などに提出でOKの場合もあるので確認しましょう。
     

    ※傷病手当金は直接自分の口座に振り込まれます。普段は会社が天引きしている、健康保険料+厚生年金+住民税(昨年度のもの)が支払われておらず、後日払うことに注意して下さい。傷病手当金自体は非課税所得なので、翌年の住民税支払いは免除されます。
     

    ※1年6ヶ月の間で一旦復帰し、その後再度休職しても、1年6ヶ月という期間はリセットされません。転職して保険者が変わっても、同一の傷病名なら期間はリセットされません(通算して計算されます)。
     

    ※一方で、初回受給から数年あいてから病気が再発し、再び同じ病名で休職することになった場合は、傷病手当金が受給できることもあります。まずは相談してみましょう。
     

    ※傷病手当金受給中のアルバイトは原則ダメですが、保険者の個別判断になるので対応は異なります。内職など種類によってはOKという通達が出ています。
     

    ※退職後も2つの要件を満たしていれば、傷病手当金はもらえます。1)退職日までに連続1年以上の被保険者期間があること:1年の間で保険者が異なっていて(協会けんぽと健保組合など)もOKです。2)退職日に傷病手当金の受給資格あること:例えば退職日の挨拶などで出勤扱いになってしまうとダメなので注意して下さい。
     

    ※退職してからも傷病手当金をもらう場合は、失業保険の受給を後回しにする、受給期間延長の申請をハローワークで行いましょう。受給期間の延長は、病気や怪我、妊娠・出産・育児、介護などで30日以上働けない場合に、最大3年延長できます。申請期間は退職後30日後以降(1ヶ月以内の規定は2017年から撤廃)です。定年退職後の休養の場合は延長できる期間や申請期限が異なるので確認して下さい。
     

    傷病手当金と失業給付は同時にはもらえません。傷病手当金は「病気などで労務不能期間」に健康保険から出るお金、失業給付は「働く意思や能力があっても働けない状態」のときに雇用保険から出るお金で、両立しないからです。
     

    障害年金:1年6ヶ月を過ぎても病気が治癒せず、休職する場合は、障害年金の対象となります。障害年金は国の公的年金制度の一つで、認定は傷病手当金よりも厳しいです。また、障害年金が振り込まれるまで、申請から半年ほど掛かるので、傷病手当金受給後1年ほどたった所で受給要件を満たしていれば、年金の申請を準備するのがよいと思います。(収入の入らない期間をなくすことができる)
     

    自立支援医療
    今までは貰えるお金の話でしたが、支出をへらすことができる制度が、自立医療支援の制度です。申請することで、うつ病の治療等で精神科に通院する際の医療費、薬剤費等の自己負担割合が3割から1割に軽減されます。また、世帯の市民税額の課税状況に応じて、1ヶ月の自己負担の上限額が設けられます(※住民票の世帯ではなく、医療保険の加入単位(受診者と同じ医療保険に加入する方)をもって、同一の「世帯」として取り扱います)。
     

    ただし、自立支援医療の優遇は、都道府県や市で指定された医療機関でしか利用できません。多くの精神科医療機関は登録されていますが、自分の通院している施設が、指定を受けているか確認して下さい。また、指定医療機関ならいつでもどこでも行っていいわけでもなく、例えば川崎市の場合、医療機関は1箇所、薬局は3箇所まで登録し、これらに受診した時のみ優遇措置が受けられます。
     

    申請は市区町村の障害福祉課や保健福祉課が窓口になり、医師の診断書、世帯の所得が確認できる資料、健康保険証のコピー、マイナンバーが確認できる書類などが申請に必要になります。申請し、認定されると、1~1.5ヶ月程度で「自立支援医療受給者証」が交付されます。1年ごとに更新が必要です。
     

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