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インフルエンザ 2018最新情報

  • 10月も終わりに近づき徐々に気温が下がり、秋らしくなってきました。
    急な冷え込みで体調を崩された方もいらっしゃるのではないでしょうか。
    今回はインフルエンザについて、よく受ける質問を中心に解説をしていきます。
     
    「インフルエンザはいつ流行しますか?」
    一般的なインフルエンザの流行時期は12〜3月です。12月から患者数が徐々に増え始め、例年1月にピークを迎えます。但し、2015-2016年シーズンのように2月がピークとなり、3月まで流行が続く年もあります。
    インフルエンザは定点調査の対象となる5類感染症に指定されており、流行状況を県や都、市のHPで見ることが出来ますので参考にして下さい。
    東京都感染症情報センター:http://idsc.tokyo-eiken.go.jp/diseases/flu/flu/
     
    「インフルエンザワクチンはいつ打てばよいですか?」
    インフルエンザワクチンの効果は、接種2週間後から5か月程度です。
    医療機関の多くは10月から接種を開始します。12月の本格流行を前に、11月中頃までを目安に予防接種を行なった方が良いでしょう。
     
    「何回接種すれば良いですか?」
    本邦では、6ヶ月以上13歳未満が2回、13歳以上は1回とされています。
    しかし、米国では一部の小児について、2018-2019シーズンは1回うちでよいとしています。すなわち、「6ヶ月から8歳までで、これまで通算2回以上インフルエンザワクチンを打ったことがある子」は1回うちでOK、とされています。こちらについてはナビタスクリニックのブログ(https://navitasclinic.jp/archives/blog/1116)にくわしく説明されています。
     
    「卵アレルギーでも大丈夫ですか?」
    インフルエンザワクチンは卵アレルギーでも全く問題なく接種できます。
    確かにワクチン株は鶏卵をつかって培養され、ごく少量の卵由来タンパク質(オボアルブミンなど)を含みますが、数々の臨床研究で、副反応の増加が無いことが確認されています。米国CDCや米国アレルギー・喘息・免疫学会は、アナフィラキシーショックなど重篤なアレルギーを起こされた方でも接種可能としていますし、接種後に医療機関で長めに様子をみることも不要としています。ただし、このような強いアレルギーのある方は万が一の備えのため、(職場ではなく)医療機関で接種して下さい。なお、インフルエンザワクチンで重篤なアレルギーが出た方は、接種してはいけません。
    CDC:https://www.cdc.gov/flu/protect/vaccine/egg-allergies.htm
     
    「インフルエンザワクチンが去年は不足しましたが、今年は大丈夫ですか?」
    今年は大丈夫そうです。
    インフルエンザワクチンは、国立感染症研究所がWHOの推奨などを参照しながら、その年に流行するタイプ(株)を予測し、それに対応するワクチンをメーカーが作ります。昨年の不足は、狙った株(A/埼玉/103/2014)の増殖率が悪かったためでした。株を一昨年度と同じ株(A/香港/4801/2014)に変更して対応しましたが、ワクチンの製造が遅れ、予防接種が最も一番必要な10月〜12月上旬に供給不足が起こりました。
    しかし、今年度の供給量は2650万本と見込まれ、過去五年の平均使用量2592万本(2017年度は2491万本)を上回る予定であり、不足はないと思われます。
    朝日新聞:https://www.asahi.com/articles/ASL9F5FD4L9FULBJ00N.html
     
    「鼻にスプレーするワクチンがあると聞いたのですが、注射とどちらがいいのですか?」
    私は、「よほど針がダメ」という方以外は普通の注射の予防接種をおすすめしています。
    米国には日本にないタイプのインフルエンザワクチンが多数あり、それらを輸入して使用しているクリニックがあります。例えば「フルミスト」という鼻にシュッと噴霧するワクチンが一時期話題になりました。2016-2017、2017-2018シーズンに米国CDCの推奨から外され下火となりましたが、2018-2019シーズンは再度推奨に入っています。注射ではないので痛くないのですが、基本的には元気で持病のない「2歳から49歳まで」しか、推奨がありません。妊娠中の方や、持病のある方(心・肺・肝・腎・代謝疾患、免疫抑制剤使用中など)、喘息や喘息様エピソードのあった小児、アスピリンを内服している小児・若年者は打てません(https://www.cdc.gov/vaccines/hcp/vis/vis-statements/flulive.html)。鼻に噴霧するため、鼻づまりのある方は効果が落ちます。また、このフルミストは「生ワクチン」で、鼻から微量なウィルスを出しているので、造血幹細胞移植後など免疫不全の方と接する方は避けて下さい(Blood. 2016 127:2824-32.)。
    副作用は、鼻水、鼻づまり、頭痛、咽頭痛といった風邪のような症状が10%程度にみられます。効果は複数のランダム化比較試験で検証されていますが、注射と同等もしくはそれ以下、でした。
     
    その他にも米国には日本にないインフルエンザワクチンが多数あります。遺伝子組み替え技術を用いた、卵の成分を含まないリコンビナントワクチン(商品名フルブロック) や、65歳以上の高齢者を対象にした高力価(効果の高い)インフルエンザワクチン(商品名フルゾン)、針を使わずジェットインジェクターで高圧にしたワクチンを打ち込むもの(商品名アフルリア)などです。インジェクタータイプは打ったところの局所反応が多いようなので、いいことばかりではありませんが、針のない注射がすでに出てきているのですね。
     
    「インフルエンザ疑いの時は、どのタイミングで受診すれば良いですか?」
    発熱後、約半日経過してから、遅くとも2日以内、の受診をお勧めします。
    インフルエンザ疑いの時は、迅速検査といって細い綿棒で鼻の奥をこすり、そこについた組織や分泌物を処理液に浸して検査キットに滴下することで、陽性か陰性かの判定を行います。この検査は発症から12〜24時間が経過し、ウイルスがある程度増殖した状態でないと正確な判定ができません。そのため早く受診しすぎてしまっても、正しく診断出来ません。また、インフルエンザ治療薬(タミフルなど)は発症後48時間以内に内服しないと効果がありません。
     
    「インフルエンザにかかってしまったら、会社をどのくらい休めば良いですか?」
    会社の規定に従ってください。小児における「発症後5日、解熱後2日(48時間)」が目安です。
    小児は「学校保健安全法」で決められていますが、大人は法律で決められたものはありません。しかし、小児の上記基準に準じているところが多いようです。なお、「治癒を証明」することは医学的に不可能(検査もありません)ので、「治癒証明書」は医学的には必要ありません。

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